2021.7.19 更新

交通事故で後遺障害になったら慰謝料はいくら?相場と請求のしかた

ケガの写真
交通事故の被害にあって、症状が長引いてしまうと身体的だけでなく心理的にもつらいものですね。

特に「むちうち」の症状は後遺症として残ってしまう場合もあり、ケガの治療のために病院に通い続けることも珍しくありません。

むちうちの場合は、手続きを行うことで「後遺障害」として認定される可能性があります。

症状によって当てはまる等級が異なり、慰謝料額も違ってくるので、実際の症状に沿った認定を受けることが重要です。

しかし、後遺障害の等級認定手続きは専門的な知識が必要であり、自分だけで取り組むのは容易ではないといえます。

交通事故事案に詳しい弁護士に依頼をすることで、納得できる慰謝料を得ることが可能になります。

この記事では、交通事故で後遺障害となったときの慰謝料額の相場と、請求方法を解説します。

※この記事では「加害者=過失の割合が大きい交通事故の当事者」「被害者=過失の割合が小さい交通事故の被害者」としています。

この記事の監修者
長 裕康
イージス法律事務所 代表弁護士
長 裕康HIROYASU OSA
所属団体
第二東京弁護士会、至誠会、開成法曹会
役職
日本弁護士連合会若手法曹センター幹事
日本司法支援センター(四谷、新宿、池袋、立川、八王子)相談員
原子力損害賠償支援機構から相談業務専門家(弁護士)に任命

後遺障害とはどういう状態?後遺障害慰謝料とは?

交通事故で負ったケガの治療を続けても完治せず、後遺症が残ってしまうことがあります。

等級認定手続きを行うことで後遺障害と認められれば、入通院慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」を請求できます。

「後遺障害とは」
後遺症のなかでも国が定める「後遺障害等級表」に当てはまる症状であれば「後遺障害」として認められる可能性があります。

後遺障害は等級が1つ違うだけでも、請求額に大きな違いがあるので、実際の症状に合わせて正しく請求することが重要です。

また事故の影響によって働けなった場合に、将来得られるはずだった収入を補償する「逸失利益」の請求も可能です。

障害を負いながら生活を立て直していくのは大変でもあり、すべてが金銭的なもので解決するわけではありません。

しかし、納得できる補償を受けることが生活再建への足がかりとなるため、相手方にきちんと請求を行いましょう。

後遺障害には等級がある

後遺障害は症状によって等級が定められており、等級が異なれば慰謝料額も異なってきます。

等級別の具体的な慰謝料額は後述しますが、まずは各等級のおもな症状についてまとめました。

等級 おもな症状
第1級 ・両眼が失明
・話したり噛んだりする機能が失われた
・両手が動かなくなる、もしくはひじ関節以上を失った
・両足が動かなくなる、もしくはひざ関節以上を失った
第2級 ・片眼が失明し、もう一方の眼の視力が0.02以下になった
・両眼の視力が0.02以下になった
・両方の手関節以上を失った
・両方の足関節以上を失った
第3級 ・片眼が失明し、もう一方の眼の視力が0.06以下になった
・話したり噛んだりする機能が失われた
・神経や精神、臓器などに大きな障害が残り、一生働けなくなった
・両手の指を全部失った
第4級 ・両眼の視力が0.06以下
・話したり噛んだりする機能に大きな障害が残った
・両耳の聴力を完全に失った
・片腕のひじ関節以上を失った
・片足のひざ関節以上を失った
・両手の全部の指が使えなくなった
・両足のリスフラン関節(指の付け根部分)以上を失った
第5級 ・片眼を失明し、もう一方の眼の視力が0.1以下になった
・神経や精神、臓器などの機能に障害が残り、軽易な作業以外では働けない状態
・片手を手関節以上で失う、もしくは方手が動かなくなった
・方足を足関節以上で失う、もしくは片足が動かなくなった
・両足の足指を全部失った
第6級 ・両眼の視力が0.1以下
・話したり噛んだりする機能に障害が残った
・両耳の聴力が著しく低下した
・片耳の聴力が失われ、もう一方の耳も40cm以上離れると聞き取れない
・脊柱の変形もしくは運動障害が残った
・3大関節のうち2つの関節が機能しなくなった
・片手の5本の指もしくは親指を含む4本の指を失った状態
第7級 ・片眼が失明し、もう片方の眼の視力が0.6以下になった
・両耳の聴力が低下し、40cm以上離れると普通の話し声を聞き取れない
・片耳の聴力が失われ、もう一方の耳も1m以離れると普通の話し声を聞き取れない
・神経や精神、臓器などに障害が残り、軽作業以外では働けない状態
・片手の親指を含む3本の指を失う、もしくは親指以外の4本の指を失った
・手足に著しい運動障害が残った
・外貌(見た目)に著しい損傷が見られる
第8級 ・片眼が失明もしくは視力が0.02以下になった
・脊柱に運動障害が残った
・片手の親指を含む2本の指を失う、もしくは親指以外の3本の指を失った
・3大関節のうち1つの関節が機能しなくなった
・片方の足の指を全部失った
第9級 ・両眼の視力が0.6以下になった
・片眼の視力が0.06以下になった
・両眼のまぶたに著しい損傷や視野狭窄が見られる
・鼻を欠損した
・話したり噛んだりする機能に障害が残った
・1m以上離れると普通の話し声が聞き取れない
・片耳の聴力を完全に失った
・神経や精神、臓器の障害のために仕事の範囲がかなり限定される
・片手の親指もしくは親指以外の2本の指を失った
・外貌に損傷が見られる
第10級 ・片眼の視力が0.1以下になった
・14本以上の歯の治療を受けた
・1m以上離れると普通の話し声を聞き取れない
・片手の親指または親指以外の2本の指を失った
・3大関節のうち1つの関節に著しい障害が残った
第11級 ・両眼の眼球やまぶたに著しい損傷や障害が見られる
・10本以上の歯の治療を受けた
・1m以上離れると小声を聞き取れない
・片手の人差し指、中指、薬指のいずれかを失った
・片足の親指を含む指が2本以上機能しなくなった
第12級 ・片眼の眼球やまぶたに著しい損傷や障害が見られる
・7本以上の歯の治療を受けた
・鎖骨や胸骨などに著しい変形が見られる
・3大関節のうち1つに障害が残った
・片手の小指を失った
・首の痛みなどの著しい神経症状(むちうち)
第13級 ・片眼の視力が0.6以下になった
・両眼のまぶたの一部に欠損が見られる
・5本以上の歯の治療を受けた
・片手の小指が機能しなくなった
・臓器の機能障害
第14級 ・片眼のまぶたの一部に欠損が見られる
・3本以上の歯の治療を受けた
・片方の耳で1m離れると小声が聞き取れない
・手足の露出部分に、手のひらサイズのアザなどが残った
・首の痛みなどの神経症状(むちうち)

参考:厚生労働省 障害等級表

症状が何級に当てはまるかは「障害等級表」に基づきます。

ここで取り上げているものはおもだったものです。ご自身で安易に判断せず、医師の診断をしっかりと受けて症状を明らかにしましょう。

後遺障害等級認定をわかりやすく解説!申請方法と補償制度について」では等級について細かく解説していますので、こちらも参照ください。

弁護士の〈ここがポイント〉
後遺障害の認定を受けるには医師の診断書が必要です。そのうえで、後遺障害の等級認定に詳しい弁護士に相談をして、申請手続きを行うことが重要です。

むちうちも後遺障害に認定される場合がある

交通事故が原因で多く起きる症状として「むちうち」があるようです。

むちうちの場合、後遺障害の「12級」もしくは「14級」として認定される可能性があります。

自賠責保険では後遺障害等級表で定める以下の基準で、等級認定を行っています。

等級 認定基準 ポイント
第12級 局部に頑固な神経症状を残すもの 診断結果や検査結果から、他覚症状として認められるもの
第14級 局部に神経症状を残すもの 事故状況や治療の経過から症状の一貫性が認められ、説明できるもの

むちうちは人によって症状に個人差があるため、医師による適切な診断が欠かせません。

医師に後遺障害診断書を作成してもらうにあたり、気になっている自覚症状はきちんと伝えておきましょう

また正しく診断をしてもらうには、継続して治療を受け続けることが大切です。

保険会社から「治療費の打ち切り」を伝えられる場合もありますが、医師の診断に従って治療を継続することが、後遺障害の等級認定においても大事だといえます。

後遺障害に非該当の症状でも認定される場合がある

後遺障害等級表に掲げられている症状以外でも、認定を受けられる場合があります。

「各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする」と定められているのです。

たとえば等級表に記載がない後遺障害であっても、次の2つのケースにおいて「相当等級」として認められる可能性があります。

〈等級表に似たような後遺障害がないケース〉

ケース 認められる相当等級
・嗅覚喪失や味覚脱失 第12級
・嗅覚減退 第14級
・外傷性散瞳 第11級・第12級・第14級

〈等級表に似たような後遺障害があるケース〉

ケース 認められる相当等級
左足関節が機能しなくなり(第8級6号)、さらに左ひざ関節に著しい機能障害が残った(第10級10号) 2つ以上の後遺障害が残っているため、重い方である8級を1ランク上げて7級相当となる

※2つ以上の後遺障害があるとき、「併合」のルールに基づいて取り扱われます。

上記のように等級表には直接該当する後遺障害がなかったとしても、認定される場合があります。

後遺障害の等級認定手続きをして非該当となってしまったときは、「異議申立」を行うことができます。

実際の症状を正しく反映させた診断書や検査資料を用意して再び申請を行うことで、等級認定をされる場合があります。

異議申立は初回の申請時よりもしっかりと準備を整える必要があるので、交通事故事案に詳しい弁護士のサポートが役立つはずです。

交通事故の後遺障害慰謝料は最大2,800万円

後遺障害の等級認定を受けることで、「後遺障害慰謝料」の請求が可能です。

計算基準は、

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判基準)

の3つがあります。

それぞれの計算基準には、次のような特徴があります。

慰謝料計算の基準

慰謝料額は等級によって異なり、最も重い「1級」では最大で2,800万円となります

〈後遺障害慰謝料の比較例〉

等級 弁護士基準(裁判基準) 任意保険基準 自賠責保険基準
第1級 2,800万円 1,600万円 1,150万円(1,650万円)

※かっこ内は「介護を要する後遺障害」

実際に請求できる金額は、慰謝料の計算基準によって違います。

同じ等級であっても、計算基準が違えば慰謝料額は大きく異なります。

次は具体的な金額について見ていきましょう。

後遺障害慰謝料は弁護士基準が最も高額

後遺障害慰謝料は、入通院慰謝料などと違って等級ごとに慰謝料額が決められているのが特徴です。

「弁護士基準(裁判基準)」と「自賠責保険基準」で金額を比べると、以下のとおりです。

〈後遺障害慰謝料の目安〉

等級 弁護士基準
(裁判基準)
自賠責保険基準
第14級 110万円 32万円
第13級 180万円 57万円
第12級 290万円 94万円
第11級 420万円 136万円
第10級 550万円 190万円
第9級 690万円 249万円
第8級 830万円 331万円
第7級 1,000万円 419万円
第6級 1,180万円 512万円
第5級 1,400万円 618万円
第4級 1,670万円 737万円
第3級 1,990万円 861万円
第2級 2,370万円 998万円(1,203万円)
第1級 2,800万円 1,150万円(1,650万円)

※かっこ内は「介護を要する後遺障害」
※参考:自賠責保険基準と弁護士基準は、日弁連交通事故相談センター 東京支部「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(2020年版)(通称・赤い本)」
※任意保険基準は保険会社ごとに異なるので省略。
※身体の他部位に後遺症が見られた場合などは、さらに慰謝料額が高くなる可能性もあります。

上記の一覧表から分かるように、弁護士基準(裁判基準)と自賠責保険基準とでは、等級が同じでも金額に大きな違いがあります。

ちなみに任意保険基準は自賠責保険基準と同程度なので、3つの基準のなかでは弁護士基準(裁判基準)が最も高くなります。

次は、交通事故で多く見られる後遺障害の等級について解説します。

むちうちの後遺障害の慰謝料は14級~12級に相当

むちうちの症状は個人差が見られるものですが、後遺障害では「14級」もしくは「12級」と認定されるケースが多いです。

後遺障害等級表で定められている該当要件として、次のような違いがあります。

■後遺障害14級と12級の違い

等級 該当要件 ポイント
第14級9号 局部に神経症状を残すもの 自覚症状
第12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 他覚症状

14級の場合は継続して治療を行っていて、「自覚症状」を示す資料などを提出すれば認定される可能性は高まります

自覚症状は人によって異なるので、体調の変化を感じたときはメモに残して、きちんと医師に伝えましょう。

12級の場合は他人が客観的に判断できる「他覚症状」の有無が、等級認定のポイントです。

医師に相談をしたうえで、レントゲンやMRIなどの検査を行って、症状と交通事故との因果関係をハッキリとさせましょう。

また、14級と12級の慰謝料額の違いは次のとおりです。

等級 弁護士基準
(裁判基準)
自賠責保険基準
第14級 110万円 32万円
第12級 290万円 94万円

※慰謝料額はあくまで目安です。状況や相手の保険会社などによって異なる場合があります。

計算基準や認定された等級によって慰謝料額は大きく違うので、実際の症状を正しく認定してもらうことが大切です。

むちうちについての詳細はこちらの記事もご参照ください。

交通事故でむちうちになったら慰謝料はいくら?慰謝料の相場と注意点

後遺障害9級~8級とはどんな症状?

後遺障害9級は視力や聴力の低下、神経系統の障害など1号~17号まで幅広く等級表に掲げられています

どれか1つの要件に当てはまれば認定基準を満たすので、医師による診察を受けましょう。

また、8級については9級よりもさらに重い症状であり、手足の指の欠損や関節の機能障害、脊柱の運動障害などがあげられます

むちうちの場合は14級や12級となる場合が多いものの、詳しく検査をしてみると重い症状が見つかるケースもあります。

「大したケガではない」と自分で判断せずに、少しでも体に異変を感じたときは医師に相談する姿勢を持つことが大切です。

そして、9級と8級の慰謝料額の違いについては、次のようになります。

等級 弁護士基準
(裁判基準)
自賠責保険基準
第9級 690万円 249万円
第8級 830万円 331万円

※慰謝料額はあくまで目安です。状況や相手の保険会社などによって異なる場合があります。

認定される等級が1つ違うだけでも、慰謝料額は大きく変わってきます。

そのため、後遺障害の等級認定手続きを正しく行うことが大切です。

次は、後遺障害の等級認定を受けるときのポイントを解説します。

交通事故で後遺障害の認定を受けるには?

「後遺障害慰謝料」は、単にケガの後遺症が残っているだけでは請求ができません。

「後遺障害の等級認定手続き」を行うことで、症状が後遺障害であると認められれば、後遺障害慰謝料を相手側に請求できます

まずは全体的な申請手続きの流れを押さえたうえで、どういった点に気をつければいいのかを見ていきましょう。

交通事故で後遺障害の認定を受ける流れ

後遺障害の等級認定手続きでは、「事前認定」と「被害者請求」の2種類の方法があることをまずは押さえておきましょう。

「事前認定とは」
相手方の保険会社が手続きを行う方法です。医師が作成した後遺障害診断書を提出すれば、後は認定結果を待つだけとなります。

事前認定は手続きが簡単なのが特徴ですが、慰謝料を相手側の保険会社の基準で計算されたり、後遺障害等級が実際の症状よりも低い認定結果となる恐れがあります。

また後遺障害等級が認められると、自賠責保険から等級に応じた賠償金が支払われますが、相手側の保険会社に振り込まれてしまいます。

相手方と示談(解決)となるまで、被害者の方に支払われないので注意が必要です。

「被害者請求とは」
自ら申請手続きを行う方法であり、すべての書類を集めなければならないので時間がかかります。

被害者認定は手間がかかりますが、納得のいく形で手続きが行えるため、実際の症状に見合った認定結果を得られる可能性が高まります

また被害者請求の場合は、等級が認定されたあとで自賠責保険から支払われる賠償金は被害者の方に振り込まれることも特徴です。

症状固定後は、相手側の保険会社から休業損害や治療費は支払われないこととが一般的ですが、一時金としてお金が振り込まれることになるので、被害者の方にとって負担の軽減になるといえるのです。

それぞれの手続きの流れをまとめると、以下のとおりです。

後遺障害等級認定の手順

〈被害者請求の流れ〉
医師が後遺障害診断書を作成
 ↓
相手方の任意保険会社に後遺障害診断書を提出
 ↓
保険会社が必要書類を準備して申請
 ↓
認定機関である損害保険料率算出機構が審査
 ↓
認定結果が保険会社に伝えられる
 ↓
保険会社から被害者に認定結果が伝えられる

〈被害者請求の流れ〉
医師が後遺障害診断書を作成
 ↓
被害者が交通事故証明書や検査資料など、申請に必要な書類をすべて準備する
 ↓
相手方の自賠責保険会社に必要書類を提出
 ↓
保険会社が損害保険料率算出機構に申請
 ↓
損害保険料率算出機構が審査を行い、認定結果を保険会社に伝える
 ↓
保険会社を通じて、認定結果が被害者に伝えられる

事前認定と比べて、被害者請求のほうが手間はかかりますが、適正な等級で認定される確率が上がります

書類や資料集めに時間をかけられる分だけ、多くの証拠を集めやすくなるでしょう。

ただ、等級認定手続きに必要な書類や資料を読み解くには、専門的な知識がいります。

自分で手続きを進めるのが難しいと感じるときは、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。

後遺障害の申請も弁護士に一任できるので、負担を減らせるはずです。

次に、後遺障害の等級認定を受けるときの注意点を解説します。

注意点1 症状固定まで通院する

実際の症状に見合った認定結果を得るためには、継続して治療を行うことが大事です。

後遺障害の等級認定手続きは「症状固定」となってから行うので、十分な治療を受けたほうが正しい診断結果を得られると考えられます。

目安としては、月に10日以上の通院が望ましいでしょう。

症状固定の診断は医師が下すものなので、相手の保険会社から「治療費の打ち切り」を伝えられても、安易に治療をやめてはいけません

医師に相談のうえ、治療の継続が必要であれば、きちんと治療を続けることが大切です。

「症状固定とは」
ケガの治療を継続しても、それ以上の症状の改善が見られない状態を指します。医師が診断を下すものであり、保険会社や自分で判断するものではありません。治療期間がどの程度あったかは、後遺障害の等級認定でも重要な意味を持つので、必要な治療は継続して行うことが大切です。

注意点2 医師から後遺障害診断書をもらう

等級認定手続きを行うための重要な書類として、「後遺障害診断書」があげられます。

この書類は医師のみが作成できるものであり、診断書の内容が等級認定の審査に影響を与えます。

そのため、診断書に後遺症が残っていることを書いてもらうことが肝心です。

ただし、医師によっては後遺障害についてあまり詳しくなく、診断結果と実際の症状との間にズレが起こる場合もあるかもしれません。

診断書の内容に納得できないときは、担当医師に再度診断を行ってもらうか、別の医師によるセカンドオピニオンを受けてみることもよいでしょう。

「医師の診断だから大丈夫」と思い込まずに、診断結果については慎重に判断することが大切です。

交通事故の後遺障害で慰謝料以外に請求できる賠償金はある?

後遺障害と認定されることで、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料の請求が可能になります。

そして、慰謝料以外にも「逸失利益」や「休業損害」の請求も行えます。

これらの損害賠償は、後遺障害によって働くことに支障が出てしまった場合の補償を意味しています。

交通事故にあう前の年収や職業、年齢などが関係しますが学生や主婦(主夫)であっても請求は可能です。

それぞれの項目について、ポイントや計算方法などを判例も交えて解説します。

逸失利益=将来得られたはずの収入に対する補償

「逸失利益」は、将来的に得られたはずの収入に対する補償を指します。

後遺障害の影響によって、事故にあう前のように働けなくなってしまい、今後も収入が減ることが見込まれる場合に請求可能です。

逸失利益として請求できる金額は、収入・職業・年齢などによって違いますが、基本となる計算式は次のとおりです。

〈逸失利益の計算式〉
1年あたりの基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

「基礎収入額」とは、交通事故にあう前の所得のことを指し、会社員の場合であれば賞与や手当なども含みます。

学生や主婦(主夫)で仕事に就いていなかった場合は、厚生労働省が定める「賃金センサス」(賃金構造基本統計調査)をベースに計算します。

また、「労働能力喪失率」とは後遺障害によって失われた労働能力の割合を指します。

等級ごとに目安となる割合が決められており、以下のようになります。

〈労働能力喪失率〉

等級 労働能力喪失率
第14級 5%
第13級 9%
第12級 14%
第11級 20%
第10級 27%
第9級 35%
第8級 45%
第7級 56%
第6級 67%
第5級 79%
第4級 92%
第3級 100%
第2級 100%
第1級 100%

「労働能力喪失期間」は働くことが可能な残存期間を示すもので、年齢によって違ってきます。

逸失利益についても慰謝料と同様に、相手方の保険会社から具体的な金額を提示されます。

しかし、「無職であることを理由に収入を低く設定された」「内定先が決まっていたにもかかわらず、内定先の平均収入で計算されなかった」などの問題が起こることもあります。

逸失利益の計算は専門的な知識が必要ですので、保険会社から提示された金額に納得できないときは、弁護士に相談をしましょう。

弁護士であれば過去の判例に基づいて、適正な金額を計算してくれます。

休業損害=働けなくなった分の収入に対する補償

「休業損害」は、交通事故によって入院や通院をしなければならず、働けなかった分の収入を補てんするものです

休業損害の計算方法は次のとおりです。

休業損害の計算式
1日あたりの基礎収入額×休業日数

交通事故にあう前の収入を日割りした金額に、休業日数(入通院期間)をかけ合わせて計算します。

休業損害を請求する場合、会社員であれば勤務先から「休業損害証明書」を発行してもらいましょう。

自営業の場合は「確定申告書」、専業主婦(主夫)の場合は「家族分の記載がある住民票」などが必要です。

休業損害としてカウントされる期間は、「就労不能期間」までとなります。

たとえば、むちうちの場合は事故発生から60~90日程度となるケースが多いようです。

保険会社に対して休業損害を請求するには、「休業の必要性や相当性」を記した医師の診断書が必要です。

医師の診断書がなければ、正しく主張することが難しくなってしまうので、きちんと診断を受けるようにしましょう。

また、休業損害としてどれくらいの金額が受け取れるかの目安として、下記の判例も参考にしてみてください。

【判例1】(大阪地裁・平成13年11月30日判決)
被害者が交通事故によるケガの治療のために仕事を休まざるを得なかったときに、有給休暇を使用しても休業損害と認められたケースです。この裁判では、事故前3ヶ月の1日あたりの平均賃金が1万5,506円、取得した有給休暇の日数が104日であったため、休業損害として161万2,624円が認められています。

【判例2】(名古屋地裁・平成14年3月15日判決)
専業主婦である被害者の休業損害が認められた判例です。事故発生から症状固定日までの268日間のうち、およそ2ヶ月間は家事をまったく行えず、症状固定日までの期間についても平均で10%の割合で支障があったことが認められています。当時の賃金センサスから基礎収入を日額1万167円とし、休業損害として82万1,493円が認められています。

交通事故の後遺障害慰謝料をしっかり請求するには弁護士に相談

ここまで述べたように、後遺障害慰謝料の計算方法はさまざまあり、また交渉が必要なため、一般の方にはハードルが高いといえます。

自分で請求することも可能ですが、思うように主張が通らない可能性もあります。

適正な補償を受けるためには、専門的な知識と交渉のノウハウを持った弁護士に交渉を依頼をするとよいでしょう。

示談交渉だけでなく、後遺障害の等級認定手続きも代行してもらえるので、心強い味方となるはずです。

ここでは、弁護士に依頼をするメリットを3つご紹介します。

メリット1 弁護士基準の慰謝料を算出してくれる

弁護士に依頼をするメリットとして、弁護士基準(裁判基準)で慰謝料を計算してもらえる点があげられます。

交通事故の慰謝料は、計算基準によって金額が大きく異なります。

自賠責保険基準や任意保険基準と比べて、弁護士基準(裁判基準)が最も高いので、適正な補償が受けられる可能性があります。

特に後遺障害の場合は慰謝料額も大きくなるため、どの基準で計算をするかは重要です。

後遺障害を負ってしまうと、事故後の生活を立て直すのに大きな労力を伴います。

金銭だけですべてが解決するわけではありませんが、せめてもの補償として納得できる慰謝料を請求することが大切です。

メリット 2 相手側の保険会社との交渉をすべて任せられる

交通事故と症状に因果関係があることの確かな証拠をそろえても、自分の主張が必ずしも通るとはかぎりません。

後遺障害の場合は損害賠償額が大きくなるため、相手方の保険会社もいろいろと主張をしてくるでしょう。

弁護士に依頼をすれば、示談交渉のすべてを任せられるので、精神的な負担が軽くなるといえます。

示談交渉は話し合いによって進められるため、双方の意見がかみ合わなければ、補償を受けるタイミングが後ろ倒しとなってしまいます。

スムーズに示談交渉を進めて、納得できる示談金を受け取るためには弁護士に相談をしてみましょう。

相手側と直接やりとりをせずに済むので、ケガの治療に専念できるメリットがあります。

メリット3 慰謝料だけでなくすべての損害賠償を請求できる

交通事故によって後遺障害を負ってしまった場合は、慰謝料のほかにも逸失利益や休業損害などを請求できます。

また、通院のための交通費や付添いの看護費用など、交通事故事案ではさまざまな費用が発生するものです。

1つ1つの項目を自分で計算するのは大変であり、請求漏れが起こる可能性もあります。

弁護士に依頼をすれば、損害賠償にまつわる項目を漏れなく請求できる可能性が高まりますし、弁護士基準(裁判基準)による計算で増額する可能性もあるのです。

弁護士の〈ここがポイント〉
保険会社から提示された示談金に納得できないときは、弁護士に相談をして適正な金額を計算してもらいましょう。

【まとめ】交通事故で後遺障害慰謝料を請求するのは難しい。弁護士へ相談してみては

後遺障害は等級認定手続きを行うことで認められるもので、慰謝料や逸失利益の請求などに関わってきます。

継続して治療を行い、実際の症状を診断書に正しく反映してもらうことが大切です。

しかし、等級認定を受けるまでに準備すべき書類や資料は、ふだんあまり見慣れないものなので難しく感じるでしょう。

また、ケガの治療と並行して書類をそろえたり、保険会社とやりとりを行ったりすることは時間的・精神的に負担が大きいものです。

弁護士法人イージス法律事務所では、交通事故の後遺障害でお悩みの方をしっかりサポートいたします。

後遺障害の申請手続きの代行や示談交渉など、すべてお任せください。

ご相談者様のお悩みをヒアリングし、適正な補償が受けられるご提案をいたします。

ご相談は無料となっていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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「交通事故の慰謝料の弁護士基準ってなに?」 「交通事故の慰謝料は納得できる金額で請求したい」 交通事故で被害を受けると、相手に対して慰謝料(損害賠償金の一部)を請求できます。 慰謝料の金...

交通事故で骨折したら慰謝料の相場はいくら?納得いく慰謝料のために

歩行中や自転車で走っているきに交通事故に遭ってしまうと、大きなケガを負ってしまうこともめずらしくありません。 骨折などの症状があれば治療期間も長くなり、「きちんと補償が受けられるのか」「慰謝...

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