2021.7.19 更新

交通事故で注意したい保険会社の対応は?納得いく示談の進め方を解説

交通事故の被害に遭ってしまうと、治療費などの損害賠償金を請求するために相手側の保険会社と示談交渉をする必要があります。

事故後のショックが大きく、示談交渉のことまで考える余裕はないかもしれません。

しかし、相手の保険会社に言われるがままにしていると、不利な条件で交渉が進んでしまう可能性があります

この記事では、交通事故に遭った際に、相手側の保険会社とどのように示談交渉すべきかを解説します。

保険会社との交渉で後悔しないための注意点も説明しますので、交通事故の被害でお悩みの方は、ぜひご一読してください。

※この記事では「加害者=過失の割合が大きい交通事故の当事者」「被害者=過失の割合が小さい交通事故の被害者」としています。

この記事の監修者
長 裕康
イージス法律事務所 代表弁護士
長 裕康HIROYASU OSA
所属団体
第二東京弁護士会、至誠会、開成法曹会
役職
日本弁護士連合会若手法曹センター幹事
日本司法支援センター(四谷、新宿、池袋、立川、八王子)相談員
原子力損害賠償支援機構から相談業務専門家(弁護士)に任命

目次

交通事故に遭ったら相手の保険会社はなにをする?

交通事故に遭ったときの損害賠償の請求先は、相手の保険加入状況によって下記のようになります。

  • 相手が任意保険に加入している場合=相手の加入している保険会社
  • 相手が任意保険に加入している場合=相手の加入している保険会社

保険会社への正しい対応方法を確認する前に、それぞれの交渉の特徴についてご説明します。

相手が任意保険に加入している=交渉相手は保険会社

「任意保険」は、車の所有者(使用者)やその家族などが自分の意思で加入を決める保険で、自賠責保険では補償しきれない範囲の損害をカバーすることがおもな目的です。

通常、任意保険の補償内容には「示談交渉の代行サービス」が含まれています。

交通事故の相手が任意保険に入っていれば、その保険会社が相手の代わりに示談交渉を行いますので、損害賠償の請求先は相手側の保険会社となります

相手側の保険会社は、あくまでも相手の立場で交渉します。

補償の上限額は契約内容によって異なりますが、保険会社は賠償金額を抑えようと低めの金額を提示してくるの場合もあるようです。

本来請求できる補償額や適切な対処法などを知らないまま保険会社の提案を受け入れてしまうと、満足のいく補償を得られないこともあるのでご注意ください

なお、この記事でおもに説明している内容は、「相手が任意保険に加入している」ケースになります。

相手が自賠責保険しか加入していない=交渉相手は相手本人

「自賠責保険」は、すべての自動車、バイクに加入が義務づけられている保険で、車やバイクを購入すると強制的に加入することになります。

自賠責保険の目的は、事故で死傷させてしまった被害者に対する補償です。

傷害で120万円、死亡で3,000万円と限度額が決まっていて、物損(車の修理等など)では使えないなどの制約もあります。

交通事故の相手が任意保険に加入していないときは、自賠責保険のみで補償をします。

ただしこの場合、自賠責保険には示談交渉の代行サービスがないため、交通事故後の交渉は相手本人が行うことになるのです。

つまり、相手と直接交渉することになるのです。

とはいっても、交通事故の直後は精神的に動揺しており当事者どうしの交渉はスムーズに進まないことも想定されます。


交通事故後の保険会社との示談交渉はやり直しができない

交通事故に遭って相手側が任意保険に加入している場合は、相手の保険会社と示談交渉する必要があります。

交通事故後、通常は相手側の保険会社から連絡があります。

保険会社は手続きに慣れているので手際よく手続きを進めようとしますが、示談交渉は基本的に一度成立するとやり直しができません

あくまでも相手側の立場で交渉を進めるので、提示された補償内容が納得のいくものなのかは慎重に判断したほうがいいでしょう。

交通事故のケガは、たとえば「むちうち」など後になって痛みを感じる場合があります。

事故直後に痛みがないと、保険会社が持ちかけてきた示談内容に応じてしまいがちです。

いったん示談が成立した後に痛みが発生して、治療費や通院交通費がかかった場合、その金額は請求できない恐れがあります。

保険会社が提案する示談内容に安易に合意してしまうと、結果的に自分が満足できる額を得られないことがあります。

交通事故でケガを負うと、早く示談に応じたいと考えたくなるかもしれませんが、焦らず慎重に進めた方が賢明なのです。

弁護士の〈ここがポイント〉
任意保険は、自賠責保険の補償では足りない分を補うために使われます。
保険会社はできるだけ支出を抑えようとすることも想定されます

交通事故で気をつけたい相手側の保険会社の対応

交通事故の示談交渉を、相手側の保険会社と行うときには注意が必要です。

適切な示談交渉を進めるには、専門的な知識が欠かせません。

保険会社に有利な条件で話を進められないように、気をつけることをここでしっかり押さえておきましょう。

相手側の保険会社の「よくある対応」を紹介します。

よくある対応1 提示される慰謝料の基準が低い

交通事故の示談交渉では、「治療費」や「通院費」だけでなく、通院や入院の精神的苦痛などに対する「慰謝料」も請求できます。

しかし保険会社から提示される慰謝料の基準は、納得のいく金額にはならないこともあります

というのも、慰謝料の相場には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3種類があるからです。

  • 自賠責基準
    最低限の補償が目的なので、慰謝料の算定基準も低いです。
  • 任意保険基準
    自賠責保険の補償の不足分として支払うもので、相手が加入する保険会社が相手の立場で交渉して決めます。
    基準は会社によって異なりますが、総じて自賠責基準より少し多い程度とされています。
  • 弁護士基準
    過去の判例に基づいて導き出している基準です。
    裁判でも認められた金額なので請求するべき適切な基準といえ、他の基準と比べて最も高額になります。

慰謝料計算の基準

たとえば通院1ヶ月間の慰謝料を比較すると、

自賠責基準=12万9,000円
弁護士基準=28万円(重傷)もしくは19万円(軽傷)
と、約1.5~2倍ほどの差があります

任意保険基準は弁護士基準とは異なり、症状の重さに合わせた基準を設けていません。

その点からも、弁護士基準の慰謝料はきめ細かな賠償金額の設定といえるでしょう。

よくある対応2 休業損害や逸失利益の支払いを渋る

保険会社は、「休業損害」や「逸失利益」の支払いに難色を示すこともあるようです。

「休業損害」とは
交通事故が原因で仕事ができなくなってしまった場合に、その交通事故がなければ得られたはずの収入分の損害のことです。
「逸失利益」とは
交通事故によって後遺障害が残ってしまった場合に、その後遺障害がなければ得られたはずの利益のことです。

たとえば、主婦(主夫)が交通事故のケガで家事ができなくなったとき、本来は主婦(主夫)にも休業損害が認められているにもかかわらず、「主婦(主夫)には実収入がない」と言われることがあります。

それまで収入があった場合でも「請求された額の一部しか認めない」と主張されることもあるのです。

また後遺障害によって仕事の作業量が減ったり、役職や部署の配置転換で収入が減ったりしても、「実際に労働力が失われているわけではないのでは」と疑問を持たれることも想定されます。

弁護士の〈ここがポイント〉

休業補償や逸失利益を的確に計算することは、一般の方には難しいといえます。
また保険会社との交渉が必要になるため、ご自身で納得のいく示談交渉をすることは、難易度が高いといえるでしょう。

よくある対応3 被害者の過失を主張してくる

「過失割合」とは
交通事故が起こった際に、当事者のどちらに、どの程度の過失(落ち度)があるのかという責任の割合のことです。

示談金の交渉で、この「過失割合」が争点になることは珍しくありません。

「過失割合」が示談金(損害賠償金)の額を左右するので、保険会社は被害者にとって不利な過失割合を主張してくることもあるのです。

保険会社は交通事故の示談交渉に慣れているため、法律の知識や示談交渉の経験がない方は、保険会社と対等に交渉することは難しいといえます。

本来は相手側の過失が大きい場合でも、保険会社が提示する条件を受け入れてしまうことも考えられるのです。

弁護士法人イージス法律事務所は、保険会社と対等な立場で交渉をいたします。

相手の保険会社から出された条件を公正に判断して、納得のいく損害賠償金を請求できるようサポートいたします。

保険会社からの治療費の打ち切り提案には注意

交通事故で負ったケガの治療を続けていると、相手側の保険会社から「治療費の打ち切り」を宣告されることがあります

「打ち切り」とは
「事故から数ヶ月たって症状が固定したでしょうから、今後は治療費を支払いません」などと保険会社から宣言されることです。

しかし相手の保険会社に「打ち切り」を打診されても、安易には同意しないように注意してください。

相手側の保険会社は通常、治療を始めてから症状によって1~6ヶ月で打ち切りを求めてきます。

治療を打ち切る期間には保険会社の基準があり、目安として
・打撲=1ヶ月
・むちうち=3ヶ月
・骨折=6ヶ月
といわれています。

打ち切りのタイミングを推し測るために、保険会社は「ケガは完治していますか?」「症状は固定されましたか?」など、状況を聞いてくることがあります

そこで保険会社に「ケガはもう良くなった」などと答えると、その後、治療費が支払われない恐れがあるのです。

弁護士の〈ここがポイント〉
交通事故で負ったケガの治療をいつまで続けるのか、いつ治療を終えるのかという判断は、医師が行うものです。
保険会社から「治療費の打ち切り」の打診を受けても、医師の明確な診断結果がない状態で回答をしないように気をつけましょう。

交通事故発生後の保険会社への対応の流れ

交通事故後の示談交渉を相手側の保険会社と行うとき、相手に言われるがままに話を進めると、不利な条件に合意して後悔してしまうかもしれません。

そうならないためには、適切な進め方を知っておくことが大切です。

そこで、
・交通事故発生後
・ケガの治療中Mbr< ・完治または症状固定後
というそれぞれの段階ごとに、どのような行動を取るべきかを説明します。

交通事故発生後に保険会社から連絡がきたときは

交通事故の発生直後は、必ず警察へ連絡をしてください。ケガがある場合は救急車も呼びましょう。

相手の氏名・住所などの確認を行い、警察官とともに事故現場の状況や車両の損傷箇所の確認などを行います。

翌日以降いに、通常は相手が加入している保険会社から連絡がきます。相手側の保険会社から連絡がない場合は、自分から連絡をしても構いません。

その後、保険会社から同意書が送られてきた場合はご注意ください。

    同意書には、難しい専門用語が並ぶだけでなく、

  • 相手側の保険会社が治療費を支払うことに同意するか
  • 個人情報を取得してよいか
  • 医師に治療状況を確認してよいか
  • 後遺障害等級の申請作業をしてよいか
  • といった内容が書かれていることがあります。

概ね問題がない内容といえますが、場合によっては不利になってしまう可能性もあるのでよく吟味して回答しましょう

事故直後に痛みなどの自覚症状がない場合も「むちうち」のように時間が経ってから痛みが生じることもあるので、医師の診察は必ず受けてください。

交通事故で負ったケガを治療しているときの対応

交通事故に遭ってケガを負ってしまったとき、治療中でも気をつけることがあります。

合理的な理由がない治療や通院をすると、保険会社から補償の対象として認められないからです。

・医師の指示どおりに通院せず、自分の判断で通院ペースを減らす
・医師の指示がないのに、自分で選んだ接骨院・整骨院に通う
などをすると、保険会社からの補償を受けられないことがあります。

保険会社から十分な費用を支払ってもらうためには、医師の診断が不可欠です。ケガの状態は自分で判断せず、医師の指示どおりに受診しましょう。

相手側の保険会社には、治療費だけでなく通院費も請求できます。

バスや電車、タクシーなどによる移動は条件が合えば通院費の対象になります。移動に使った交通費の領収書など、通院のための移動を証明する記録は残しておきましょう


完治または症状固定のあとの対応

治療を終えた後は、ケガの状態によって取るべき行動が異なります。

■「完治」したとき

交通事故が原因のケガが完全に治った状態の「完治」になると、保険会社と示談交渉をする段階に入ります。

    支払ってもらう損害賠償額を決めるために、相手の保険会社には

  • 治療費
  • 通院費・交通費
  • 装具、器具購入費
  • 休業損害
  • など支払いを求める項目を、領収書を添えて提出します。

保険会社からは損害賠償額を提示してきますので、内容に納得すれば交渉成立です。内容に合意できない場合は、交渉を続けて合意できるまで解決を図ることになります。

■「症状固定」となったとき

ケガが完治せず後遺症が残ってしまったまま「症状固定」となったときは、「後遺障害認定」の手続きが必要です。

「後遺障害認定」の手続きを進める方法として、「事前請求」と「被害者請求」があります。

「事前請求」とは
相手側の保険会社に「後遺障害認定」の申請を任せる手続きです。手続きの全工程に目を通せるわけではないので、書類に不備があっても気付かないケースや、検査結果が反映されないまま手続きが進んでしまう恐れがあります。
「被害者請求」とは
自分で「後遺障害認定」を申請する方法です。手続きを行う手間はありますが、自分で確認をできるので「事前請求」のようなチェック漏れや不備を防げます。

必要な請求をしっかり行うためには、「被害者請求」をすることをおすすめします。

弁護士法人イージス法律事務所にご依頼いただければ、重要なチェック事項の漏れなどもなく被害者請求を代行できますので、ぜひご相談ください

保険会社との示談交渉で後悔しないために

交通事故に遭ってしまった後は、心理的に不安定な状態に陥りがちです。保険会社と慰謝料を含む損害賠償金の示談交渉をするのは、大きな負担となります。

専門的で複雑な話を持ち掛けてくるかもしれない保険会社と対等に交渉をするために、大切なポイントを押さえておきましょう。

交通事故後は治療のために病院へ通院する

交通事故で負ったケガを治療するときは、医師の診断を受けるために病院へ通院しましょう。

保険会社が損害賠償額を判断するには、その根拠になるケガの状態を把握しなければなりません

症状に基づいた補償を認めてもらうためには、治療行為のできる医師の診察が必要です。

たとえ事故直後に痛みがなく、素人判断では「ケガはない」と思えても、医師が「治療が必要」と診断すれば、それに対する治療費は支払われます。

交通事故では健康保険証を使えないと誤解されている人もいますが、そのようなことはありません。

健康保険機関に「第三者行為による傷病届」や「負傷原因報告書」などの書類の提出が必要になりますが、健康保険証を利用した治療は可能です。

交通事故に遭った場合でも健康保険は使えますので、まずは症状の把握とケガの治療を優先してください。

交通事故後の保険会社とのやりとりは記録に残す

相手や保険会社との会話など、交通事故後のやりとりは記録に残しましょう

交渉相手になる相手側の保険会社は、あくまでも相手側の代理人です。

そこで相手や保険会社と話した内容は、日付もあわせて手帳やメモ帳などに記録することをおすすめします。

ケガを負った患部や車の破損部分などを写真に撮っておく、会話をスマートフォンなどで録音しておく、といった方法もいいでしょう。

    保険会社とのやりとりだけでなく、以下の項目も意識的に記録しておきましょう。

  • 診察(診断書)
  • 医師のコメント
  • 治療の経過
  • 生活上での困り具合

弁護士に示談交渉を依頼する

保険会社との示談交渉で後悔しないためには、弁護士に相談することも検討してください

交通事故の示談を弁護士に依頼すると、以下のうようなのメリットが期待できます。

  • 相手側の保険会社(あるいは相手本人)との交渉をおまかせできる
  • 弁護士基準の慰謝料で交渉してくれる
  • 有利な条件を判断できる
  • 落ち着いて治療に専念できる

弁護士は、法律を熟知した交渉の専門家です。

保険会社の提示する条件が、本当に妥当な水準なのかどうかを的確に判断できます。

複雑な手続きでも安心して任せられるので、弁護士に示談交渉を依頼すれば精神的なストレスも軽くなるでしょう。

【まとめ】保険会社との示談交渉は難易度が高い。交通事故に遭ったら弁護士に相談を

交通事故の相手の代理人という立場の保険会社との交渉は、慎重に進めたほうがいいでしょう。

    保険会社は

  • 低い基準で慰謝料を算出する
  • 休業損害や逸失利益の支払いを渋る
  • 被害者に不利な過失割合を主張する
  • のような対応をしてくることがあり、正しい対処法を知らないまま交渉を行うリスクは高いといえます。

保険会社との交渉で後悔しないために、事故示談に詳しい弁護士を頼ってみてはいかがでしょうか。

弁護士法人イージス法律事務所は、交通事故の解決実績が豊富で、ご依頼者様の示談交渉をしっかりサポートいたします

落ち着いた環境で治療に専念するために、保険会社との示談交渉は弁護士法人イージス法律事務所への相談をご検討ください。

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この記事の監修者
長 裕康
イージス法律事務所 代表弁護士
長 裕康HIROYASU OSA
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