2021.5.18 2021.6.21

交通事故の示談金は慰謝料と違う?示談金の相場と増額する方法

交通事故の慰謝料相場

交通事故の被害にあってしまったら、まずはケガの治療をしっかりと行うことが大切です。

そのあとで示談金の交渉をすることになります。

示談金には、慰謝料のほかにも逸失利益や休業損害など、さまざまな種類があります

しかし相手方の保険会社から提示された示談金に、納得できない場合も少なくありません。

提示された金額は妥当なの?」「この示談金は少ないのでは?」といった疑問が湧いてくるケースもあるでしょう。

交通事故の損害賠償請求では、事故状況やケガの程度によってある程度の相場が決められています。

そのため、保険会社から示された示談金と相場を照らし合わせて考える必要があるのです。

この記事では、慰謝料と示談金との違いや相場の目安、増額できる可能性について解説します。

※この記事では「加害者=過失の割合が大きい交通事故の当事者」「被害者=過失の割合が小さい交通事故の被害者」としています。

目次

交通事故の示談金とは?種類と内訳

交通事故の損害に対する補償は、当事者どうしの話し合いである「示談交渉」によって決められます。

通常は相手方の保険会社から提示される「示談金」をもとに話し合いが進められますが、実際に受けた損害額よりも少ないケースもめずらしくありません

示談金(損害賠償金)は慰謝料のことを指すのではなく、受けた損害のすべてに対する補償を意味します

慰謝料は示談金の一部

上記のように、慰謝料はあくまで示談金の一部に過ぎません

慰謝料が交通事故で負った精神的な苦痛を補償するものであるのに対し、示談金は治療費や車の修理代、仕事を休んだことへの補償などさまざまなものを含みます。

おもな示談金の項目の内訳は、以下のとおりです。

請求できる項目 内容
慰謝料 交通事故による精神的な苦痛に対して支払われる補償のことです。「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類に分けられます。
治療費/入院費 治療にかかる費用であり、通常は相手方の保険会社から病院側に直接支払われます。入院時に必要な入院雑費なども含まれます。
通院交通費 通院のために公共交通機関などを利用したときにかかった交通費のことです。電車やバスの利用が基本であり、タクシーの利用は医師の判断によります。
車両修理代 車両の修理にかかった費用であり、レッカー代や代車等の費用も含みます。見積書や領収書などをきちんと保管しておきましょう。
付添看護費 高齢者や小学校のお子さまなど、入通院で付き添いが必要になった際に認められる費用です。寝たきり状態となるなど介護を常に必要とする場合、将来的な付添看護費も請求可能です。
器具等購入費 治療や後遺症が残ったときに購入した器具(車椅子・松葉づえ・メガネなど)の費用です。
家屋等改造費 後遺症が残ることで自宅のバリアフリー化などをしなければならない場合に請求できる費用です。
物損費用 交通事故が原因で壊れてしまった物に対する補償です。
葬儀関係費 交通事故が原因で被害者が亡くなられた場合に、葬儀を行うための費用を請求できます。
休業損害 休まずに働いていれば得られた現在の収入の減少に対する補償を指します。会社員なら勤務先の証明書、自営業者なら確定申告書などが費用です。
逸失利益 交通事故がなければ、将来得られたはずだった収入を指します。収入をまだ得ていない学生であっても、請求可能な場合があります。

このように慰謝料以外にも、多くのものが請求できる点を押さえておきましょう。

交通事故で受けた全体の損害額を明らかにしたうえで、提示された示談金が納得できるものであるかを考える必要があります。

次に、示談金を計算するポイントを解説します。

提示された示談金は妥当?示談金の相場とは

示談金の相場とは?

交通事故の示談金は事故状況やケガの程度、入通院日数などによって違ってきます

そのため「必ず0000円もらえる」という明確な金額はありませんが、本来受け取れるべきものがきちんと得られているかを確認することは大事です。

相手方の保険会社から提示された示談金が妥当なものであるかの1つの判断基準として「自賠責保険」があげられます。

自賠責保険では慰謝料や治療費などを含めて、最大で120万円までの補償が受けられます

したがって示談金の総額が120万円以内の場合は、自賠責保険からの支払いのみとなってしまいます。

示談金は、実際にかかった費用を後から請求できるものと、慰謝料や逸失利益のように保険会社の対応によって金額が異なるものがあります。

このように変動する項目については、相場をしっかりと理解しておく必要があります

実費として支払ったものについては、見積書や領収書などをきちんと保管しておきましょう。

領収書がない通院交通費などは、病院までの経路や金額をメモに残して証拠としておくことも大切です。

慰謝料には計算基準による相場がある

「慰謝料」は年齢や職業などによる違いはありませんが、計算する基準によって変わってきます。

    慰謝料の計算基準は、

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準(裁判基準)
  • の3つがあり、基準によって慰謝料額は異なります。

「任意保険基準」は保険会社が独自に算出するものなので、会社によって違いがあるものの、おおよその相場として以下のようになっています。

■任意保険基準における通院慰謝料

通院期間 慰謝料額の目安
1ヶ月 12.6万円
2ヶ月 25.2万円
3ヶ月 37.8万円
4ヶ月 47.9万円
5ヶ月 56.7万円
6ヶ月 64.3万円
7ヶ月 70.6万円
8ヶ月 76.9万円
9ヶ月 81.9万円
10ヶ月 86.9万円

■任意保険基準における入院慰謝料

入院期間 慰謝料額の目安
1ヶ月 25.2万円
2ヶ月 50.4万円
3ヶ月 75.6万円
4ヶ月 95.8万円
5ヶ月 113.4万円
6ヶ月 128.5万円
7ヶ月 141.1万円
8ヶ月 152.5万円
9ヶ月 162.5万円
10ヶ月 170.1万円

※金額の目安ですので必ずしもこの金額にならない場合もあります。

通院と入院の両方が必要であった場合は、合算した金額を慰謝料として請求します

たとえば、通院2ヶ月+入院1ヶ月の場合では50.4万円が入通院慰謝料の目安です。

任意保険基準による計算は、自賠責保険基準で算出される金額とそれほど違いがありません

しかし、弁護士が請求する場合の「弁護士基準」と比較をすると次のように大きな違いが見られます。

■任意保険基準と弁護士基準の比較表(重傷のケース)

治療期間 任意保険基準 弁護士基準
通院1ヶ月 12.6万円 28万円
通院2ヶ月+入院1ヶ月 50.4万円 98万円
通院3ヶ月+入院2ヶ月 81.9万円 154万円

上記のようにいずれのパターンでも、弁護士基準のほうが高くなる可能性がある点を押さえておきましょう

また、ケガが完治せずに後遺症が残ってしまった場合は、「後遺障害慰謝料」も受け取れる場合があります。

入通院慰謝料とは別に受け取れるものなので、しっかりと治療を行って実際の症状に見合った補償を受けることが大切です。

逸失利益の金額相場について

「逸失利益」は、交通事故の被害にあわなければ将来得られたはずだった収入を指します。

年齢や職業、事故前の収入額によって金額が変わってくるので、計算も細かくなります。

一般の方には計算が難しい部分があるので、詳しい金額を調べたいときには交通事故案件に精通した弁護士に相談をしてみましょう

逸失利益が支払われるようなケースの場合、以下のように金額が大きくなる傾向があります。

【裁判の判例1】(横浜地裁・平成27年8月31日判決)

被害者である40代の男性は、頸椎捻挫などの症状から後遺障害14級に認定されています。事故前の年収は604万円、労働能力喪失率5%・労働能力喪失期間5年と見なされたことから、逸失利益は約130万円となっています。

【裁判の判例2】(名古屋地裁・平成29年2月24日判決)

会計事務所に勤務していた30代の女性は、事故の影響で頸椎椎間板ヘルニアと診断され、後遺障害12級に認定されています。事故前の年収は469万円、労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間10年間と見なされたことから、逸失利益は約507万円となっています。

逸失利益が加わることで示談金は膨らむため、保険会社が提示してくる金額よりも多く請求できる可能性があります。

安易に示談交渉を進めてしまわずに、実際に負ったケガや損害と照らし合わせて、妥当な金額であるかを判断することが大事です。

「労働能力喪失率」とは
後遺障害によって、どれくらい働く能力が低下したかを示す割合です。逸失利益の計算に使うものであり、後遺障害の等級によって5~100%の範囲が定められています。
「労働能力喪失期間」とは
後遺障害がいつまで残り、働く能力に影響を与えるのかを示した期間です。一般的には67歳までの期間ですが、高齢者の方に関しては平均余命の2分の1を期間とすることが多いです。

示談金に納得できないときは?慰謝料は増額できる?

相手方の保険会社から提示された示談金に納得できないときは、交通事故案件に詳しい弁護士に相談してみるとよいでしょう。

弁護士を通じて示談交渉を進めることで、弁護士基準(裁判基準)での慰謝料請求が可能となります。

弁護士依頼で増額できる

また、慰謝料以外の項目についても漏れなく請求ができるため、当初の提示額より増額して納得のいく成果を得られる可能性が高まります。

弁護士法人イージス法律事務所では、交通事故案件に精通した弁護士が対応いたしますので、豊富な実績があります

弁護士法人イージス法律事務所における慰謝料増額の実績

保険会社の提示額150万円→交渉後は【3,270万円】に増額

認定された後遺障害の等級と、実際の症状との間に差があった事例です。異議申立を行うことで、3等級アップしました。

保険会社の提示額1,320万円→交渉後は【6,210万円】に増額

休業損害や逸失利益など、保険会社から低い金額を提示されていた事例です。弁護士基準(裁判基準)で計算した金額をもとに、粘り強く交渉をすることで4,890万円の増額しました。

保険会社の提示額215万円→交渉後は【1,020万円】に増額

専業主婦の方が交通事故の被害にあわれ、休業損害が認められていなかった事例です。適正に評価してもらうように交渉を行い、増額に至りました。

交渉に長けた保険会社と1人で交渉することは不安も大きく、うまく自分の主張を伝えられない場合もあります。

弁護士法人イージス法律事務所では、交通事故の被害にあわれた方のご相談に親身になって対応いたします

1人で悩まれてしまう前に、まずはお気軽にご相談ください。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に交通事故案件を依頼するメリットは、慰謝料請求のほかにもたくさんあります。

まず、示談交渉を任せられるので、相談者(被害者)の方の時間的・心理的負担を軽減できます。

ケガの治療を進めながら、保険会社と何度もやりとりをするのは大変な部分があるものです。

正しい主張をしたとしても、示談交渉は話し合いによって進められるので、思うような成果を得られないことも多いです。

そのため専門知識と豊富なノウハウ・経験を備えた弁護士に依頼をすれば、安心して示談交渉を進めることができます

また、ケガが完治せずに後遺症が残ってしまったときには、後遺障害の等級認定手続を行う必要があります。

自分で手続きを進める場合、申請のために集めなければならない書類も多く、内容も専門的なものなので難しく感じてしまうでしょう。

弁護士であれば、後遺障害の申請手続も代行できますし、実際の症状に見合った等級認定を受けられる可能性が高くなります。

また、ご自身が加入する自動車保険の弁護士特約(弁護士費用特約)を利用すれば、保険会社が弁護士費用を補償してくれるので、弁護士費用を気にせずに依頼できて安心です

\ 弁護士に依頼するメリット /
  • 時間的・心理的負担を軽減できる
  • 専門知識と豊富なノウハウ・経験をもちいた示談交渉ができる
  • 後遺障害の等級認定手続の代行ができる

示談金はいつ振り込まれる?被害者請求とは?

示談交渉による話し合いの結果、示談が成立すると相手方の保険会社から「示談書」が送られてきます。

内容に問題がなければ署名・捺印をして返送すると、保険会社の事務手続きが完了する1~2週間後くらいに示談金が振り込まれます
※あくまで目安です。賠償金額が高額の場合は時間がかかる場合もあります。

示談成立前であっても、治療費・休業損害・通院交通費などは先に支払われることも多いようです。

また、慰謝料などをできるだけ早くもらいたいときは、「仮渡金」の仕組みを利用する方法があります。

「仮渡金」とは
示談が成立する前に相手方の自賠責保険から支払われる前払金のことです。金額はケガの状態によって5万円・20万円・40万円のいずれかとなり、請求してから1週間程度で振り込まれます。

金額ごとの仮渡金を受け取れる条件
ケガの状態(一例) 仮渡金の金額
・病院に入院することを14日以上要し、医師の治療を30日以上要するもの
・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状・上腕又は前腕の骨折で合併症を有するもの
・大腿又は下腿の骨折

・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの
40万円
上記を除き次の傷害のいずれかを受けた場合
・病院に入院することを要し、医師の治療を30日以上要するもの
・病院に入院することを14日以上要するもの
・脊柱の骨折
・上腕又は前腕の骨折
・内臓の破裂
20万円
上記を除き11日以上医師の治療を要するもの 5万円

示談金の前払いという取り扱いになるため、示談が成立した後は仮渡金を差し引いた金額が振り込まれることになります。

「示談金がいつ入るのか心配」というときは、「被害者請求」の仕組みもあるので弁護士に相談をしてみましょう

「被害者請求」とは
加害者側の保険会社に対して、被害者自身が賠償金を直接請求する方法です。交通事故の示談金は、最低限の補償が自賠責保険から支払われ、超えた部分を任意保険会社が支払う仕組みとなっています。自賠責保険の支払い分を示談成立前に請求するのが被害者請求です。

受け取った示談金に税金はかかる?

交通事故の示談金は原則として非課税扱いとなるため、税金はかかりません。

示談金は交通事故の被害に対する補償という意味合いなので、課税の対象外とされています

示談金(損害賠償金)の税務上の取り扱いについては、所得税法に定められているのでチェックしておきましょう。

【所得税法】第9条17号

保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

休業損害については「収入を補償するため課税対象になるのでは」と感じてしまいがちですが、事故にあっていなければ本来受け取るものではないため、示談金として取り扱われます。

課税対象となるもので気をつけておきたいのは、「死亡保険金」の受け取りです

死亡保険金は所得税がかかる

所得税がかかってくるケースとして、夫が妻の保険料を支払っていたものの、交通事故によって妻が亡くなり、夫が死亡保険金を受け取る場合です。

このケースでは、保険料の負担者と保険金の受取人が同一人物となるので、所得税の課税対象となります。

また、交通事故で負ったケガの治療費については、確定申告での「医療費控除」に気をつけましょう。

治療費は税務上医療費を補てんするものとして見なされるので、医療費の合計額からは除外する必要があります。

後から税金の支払いで頭を悩ませないように、あらかじめ課税対象となるものを把握しておくことが大切です。

【まとめ】交通事故の示談金には相場がある。納得するために弁護士に相談してみよう

交通事故で被った損害は、示談金という形で補償されますが、相手方の保険会社から提示された金額に納得できない場合も多いものです。

示談の成立を急ぐあまり妥協してしまうのではなく、本来受けられるべき補償をしっかりとチェックしてみましょう

事故の補償は慰謝料以外にも多くのものがあり、事故状況やケガの程度によって変わってきます。

また、損害賠償の項目ごとに振り込まれるタイミングや税金の取り扱いも異なるので、正しく把握することが大切です。

納得できる形で示談を成立させ、必要な補償を受けるためには交通事故案件に精通した弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人イージス法律事務所では、交通事故の示談交渉に豊富な実績を備えた弁護士が在籍しており、安心してお任せいただけます

交通事故に遭われて納得のいく示談金を請求したい方は、お気軽にお問い合わせください。

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