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個人再生で車はどうなる?引き上げから車を守る5つの方法

2021.08.14 更新

個人再生をすると、車を手放すことになるの?車のローンの有無によって、車が引き上げられるかどうかが決まります。 車のローンを完済している場合、車を引き上げられることなく個人再生ができますが、車のローンを返済中に個人再生をすると引き上げられてしまいます。 このページでは、個人再生をすると車はどうなるのか、車を手放さないための対処法について詳しく解説していきます。

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この記事のポイント

ローンの返済が残っていても車を残せる5つの方法

  1. 車のローンの残りを一括返済
  2. 親族にローンを一括返済してもらう
  3. 車の名義変更をする
  4. 債権者と交渉をする
  5. 裁判所に申し立てをする
しかし、これらの手続きは複雑で、法律の専門的な知識が必要となります。 「車を残して借金を解決したい」という方はまず、法律の専門家に相談することも検討してください。

個人再生を車のローン返済中に行うと、車は残せない

個人再生は、借金の総額を大幅に減額したうえで、分割(原則3年)で返済していくことを決める裁判所の手続きです。
自己破産と違い、すべての財産を手放すことになるわけではありません

では、車のローン返済中に個人再生をしたとき、車はどうなるのでしょうか。

先に、ローンを完済していた場合について説明します。

車のローンを完済済みの場合

個人再生の場合、債務者の財産を処分する必要はありません。
そのためローンを完済している場合には、個人再生をしても車を手放す必要はありません

では、ローン支払い中はどうでしょうか。

車のローンを返済中の場合

結論、個人再生をすると車は引き上げられてしまいます

なぜなら、現金一括で車を購入した場合、車の所有権は直ちに買主に移ります。
しかしローンを組んだ場合、所有権がローン会社や信販会社に残されるため、この時点ではまだ車の所有権は購入者にはないということです。これを「所有権留保」といいます。

そのため、ローンの返済が滞ったとき、ローン会社・信販会社は所有権に基づいて車を引き上げてしまいます。
車がローンの支払いの担保になっているということです。

【清算価値保障の原則】ローンを完済していても注意が必要

なお、ローンを完済した場合でも、車の査定額が高く価値があると認められる場合には注意が必要です。

個人再生は、総額いくらを返済すればいいかを決めるにあたって、「清算価値保障の原則」というものがあります。 清算価値とは、債務者が保有している財産を全て処分して現金に換えたときの価値のことです。

個人再生の場合、債務の額によって算出される最低弁済額と清算価値を比較して、どちらか多い額を返済しなければならないと定められています。
したがって、所有している財産が多ければ、個人再生をした場合に返済しなければならない額も大きくなるということになります。

ローン完済後でも車の価値が大きい場合には、返済しなければならない総額が増えてしまい、月々の返済額も増えてしまうということもあるのです。

個人再生をしても車を手放さずに済む5つの方法

しかし、自動車のローンが残っていても車を手放さずに済む方法が5つあります。

1.車のローンの残債務を一括で返済する

ローンを返済することで所有権が買主に移転しますから、車を引き上げられることはなくなります。

ただし個人再生をするには、すべての債権者を平等に扱わなければならず、ある特定の債権者にだけ返済する「偏頗弁済(へんぱべんさい)」は認められません。
実際に偏頗弁済をしてしまった場合、その額が財産に計上されて清算価値が大きくなり、手続後の返済額が増えてしまうことがあります
また、偏頗弁済の程度によっては個人再生の申立てが棄却されることもあります。

2.親族などに車のローン残額を一括返済してもらう

親族などが代わりに車のローンの残額を支払う(第三者弁済といいます)と、元の債権者の債権は消滅し、代わりに親族などが債務者に対して求償権(立て替えて払ったお金を返せという権利)を取得することになります。

この場合、債務者本人の財産状況に変化はないので、債権者平等には反しません。

ただし、親族も他の債権者と平等に扱わなければならないので求償権も減額されることになります。
そのため、親族であれ借金を解決できたら少しでも返済するべきでしょう。
親族に第三者弁済をお願いする際はそのこともあわせて説明をしなければなりません。

3.車の名義変更をする

車の名義を債務者以外に変更をすれば車を残すことができます

しかし、所有権留保がついている場合、そもそも所有者に無断で名義変更をすることはできません。

また、債務者名義であっても個人再生の直前に名義変更をすると清算価値を減少させるための財産隠しとみられる危険もあります。
悪質な財産隠しの場合、個人再生の許可が下りないこともあるので注意が必要です。

4.車の所有者である債権者と交渉(別除権協定)をする

車のローンの債権者と個別に交渉をして、車を引き上げない代わりに債務の支払いをするという合意(別除権協定といいます)を結ぶことがあります。
これは車のローンについてだけ全額支払いをするというもので、債権者平等に反することになるので常に認められるわけではありません。

たとえば、個人タクシーの運転手をしている方がローンでタクシー用の車を購入したときのように、別除権を行使されると(車を引き上げられると)事業が続けられず、収入がなくなり返済を受けられなくなるため他の債権者にとっても不利益となります。
このような限られた場合のみ、裁判所の許可を得て協定の内容を実行することができます。

5.裁判所に申し立てをする

債権者との交渉がうまくいかない場合、裁判所に担保権消滅許可の申立てをすることが考えられます。
申し立てが認められれば、裁判所の権限で担保権を抹消して車を引き上げられません
手元に残したまま手続きを進めることができます。

しかし、この制度を利用するには、タクシー運転手の例のように担保が付けられた財産が事業の継続に不可欠であることだけでなく、その財産の価値に相当するお金を裁判所に納付する必要があります

別除権協定は、債権者が同意してくれれば分割での返済も可能ですが、担保権消滅許可の申立の場合は、まとまったお金を用意する必要があるので、資金的に余裕がないとこの方法は難しいと言えます。

車を残せた場合の車の扱いとは

これらの方法で車を残すことができたとして、個人再生の手続き上、車はどのように扱われるのでしょうか。

車は基本的には資産にあたり清算価値の算出に含まれますが、あまりに古い車の場合は財産的価値がないものとして資産とみなさないことになっています。
各地の裁判所によって異なりますが、おおむね査定額が20万円以下の場合、資産とみなさないという運用になっています

ここでいう査定額は、下取りをする際の無料査定のような簡易のものではなく正式な査定書が必要です。
「一般財産法人 日本自動車査定協会」が査定を行っており、全国各地に支所があるので依頼をするといいでしょう

【番外編】個人再生なら住宅ローン特則でマイホームを残せる

個人再生は、住宅ローンの支払いが残っている家を残しつつそれ以外の借金を整理することが可能です。
そのために利用されるのが住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という制度です。

これは住宅ローンだけを再生手続きの対象から外し、今までどおり又は返済期間の延長などスケジュールを組みなおした上で返済を行い、住宅ローン以外の借金を再生手続きによって圧縮するというものです。

住宅ローン特則を利用すれば、以下のような効果があります。

  • すでに住宅ローンを滞納している場合、滞納した分を再生計画に含めて3年間で分割返済できる
  • 住宅ローンを長期間滞納した場合、抵当権に基づいて住宅の競売手続きが始まっていても中止することができる
  • 住宅ローンの返済期間を「最大10年、ただし70歳までに完済する」という条件に延長することができる

他方、他の借金と異なり住宅ローン債務そのものが減額されるわけではないことに注意が必要です。

住宅ローン特則を利用するための条件

住宅ローン特則を利用するには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 住宅の購入、改良(リフォーム)などのローンであること
  • 住宅ローン以外の抵当権が付いていないこと
  • 建物の床面積の2分の1以上が居住用であること
  • 保証会社が代位弁済を行っている場合、代位弁済から6カ月を経過していないこと

車を残したいのなら専門家に相談することも手段の一つ

個人再生をしたいと考えたときどうすればいいのでしょうか。

個人再生は裁判所への申立てをしなければならないのですが、知識のない方が裁判所へ提出する書類を作成することは難しいです。

そして、債務整理については弁護士だけでなく司法書士も取り扱っていますが、個人再生をするなら弁護士に依頼をすべきです。

個人再生の場合、司法書士は代理人になることはできない

先ほど説明したとおり、個人再生は裁判所への申立てをしなければなりません。
裁判所には、「簡易裁判所」と「地方裁判所」の区別があります。

「簡易裁判所」は、訴訟の目的が140万円以下の事件や民事調停を取り扱っており、「地方裁判所」は、訴訟の目的が140万円を超える事件や自己破産・個人再生などを取り扱っています。
個人再生は地方裁判所への申立てが必要です。

しかし、司法書士は簡易裁判所で扱う事件(140万円以下の事件や民事調停)のみ代理権が認められているため、地方裁判所で取り扱う自己破産や個人再生については司法書士が代理人になることはできません。

弁護士は多額の借金(140万円以上)であっても債務者の代わりに代理で手続きを進めることもできます。

また、個人再生は複雑な手続きです。
専門的知識のない個人で行うより、法律のプロに相談することも検討してください。

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2017.12.04 公開

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