- 銀行からの借金の時効に関する基礎知識
- 時効が成立しないケース
- 時効成立の相談先
銀行からの借金にも時効はある?成立条件や注意点や相談先などを解説
2021.08.29 更新
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目次
銀行からの借金でも時効はあるの?
銀行からの借金でも時効は成立する
銀行からの借金にも時効はあります。
債権者が銀行でも、時効については他の貸金業者と何ら変わりありません。銀行も消費者金融も法律上では、借金に関する消滅時効期間はどちらも5年です。
ただし、2020年4月1日に施行される改正民法では、商事債権(商取引によって生じた債権)の時効期間を5年としている規定や職業別短期消滅時効期間を定める規定が削除されます。
これにより、すべての消滅時効期間は原則として「主観的起算点から5年間」または「客観的起算点から10年間」に統一されるため覚えておきましょう。
客観的起算点:実際に権利を行使することができるタイミング
銀行と他の貸金業者との違い
貸金業者も銀行も借り入れができる相手ということに変わりはありませんが、消費者金融などの貸金業者が「貸金業法」の規制を受けているのに対し、銀行は「銀行法」の規制を受けているという違いがあります。
貸金業法と銀行法の大きな違いとしてよく挙げられるのが、借り入れを年収の3分の1までに制限する「総量規制」の有無です。
銀行法には、この総量規制の考え方が含まれていません。しかし、現在大手銀行は貸し付けに関する自主規制を進めており、銀行カードローンでも年収の3分の1を超える借り入れは難しくなってきています。
債権の種類や貸主によって、消滅時効期間は変わる?
借り入れができるのは銀行や貸金業者だけではありません。ここでは債権の種類や貸主ごとに、その消滅時効期間についてご紹介していきます。
消費者金融からの借金
かつては貸主が企業である場合は5年、個人である場合は10年というルールがありました。しかし民法改正により企業と個人のルールを統一され「主観的起算点から5年間」または「客観的起算点から10年間」となりました。つまり消費者金融からの借金の時効は、原則5年となります。
信用金庫・銀行からの借金
昭和63年10月18日に最高裁判所で下された判決では、「信用金庫は商法上の商人にはあたらない」とされて、信用金庫からの借入の消滅時効期間は5年ではなく10年でした。しかし、民法改正により企業と個人のルールも統一されているため、信用金庫からの借入の消滅時効期間も「主観的起算点から5年間」または「客観的起算点から10年間」となっています。
また銀行は株式会社でなければならないと定められているため、もともと「企業」のルールが適用されていますが、上記の信用金庫と同じルールが適用されます。
住宅金融支援機構(または住宅金融公庫)の住宅ローン
住宅金融支援機構や住宅金融公庫は商人として扱われないため、これらで組んだ住宅ローンの消滅時効期間は10年でした。
しかしこちらも「主観的起算点から5年間」または「客観的起算点から10年間」に変更されています。
保証協会の求償権
昭和60年2月12日に最高裁判所で下された判決では、「保証協会は商人にはあたらない」とされ保証協会の求償権の消滅時効期間は10年でした。
こちらも「主観的起算点から5年間」または「客観的起算点から10年間」に変更されています。また、求償権の消滅時効の進行は「保証協会が代位弁済をした時点から」となるため覚えておきましょう。
銀行からの借金で時効が成立しないケース
消滅時効期間を過ぎていても、時効が成立しないケースがあります。どのようなケースにおいて時効が成立しないのかをご紹介していきます。
時効を適用するには手続きが必要!
借金は、「ただ時効期間が過ぎれば払わなくてもよい」というわけではありません。時効を適用して返済義務を消滅させるには、「時効の援用」手続きをする必要があります。
「時効の援用」を行う方法
時効の援用を行う方法は、法律で決められているわけではありません。
債権者に対して時効を援用する旨を伝えることで完了します。しかし、援用をしたという証拠がなければ「援用されていない」「聞いていない」といわれてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
時効の援用手続きには、確実に証拠を残すことができる内容証明郵便を使うようにしましょう。また、「時効援用通知は受け取っていない」といわれてしまう懸念を解消するため、配達証明もつけておくと安心です。
時効の援用は個人でも行えますが、時効援用通知の書き方などで注意しなければならない点も多くあります。そのため、確実に援用を行うなら弁護士などの専門家に相談することも検討してください。
時効の更新に注意!
時効は債権者により更新されることがあり、更新が起こると時効の期間がリセットされてしまします。
そのため、最終返済日から5年や10年が経っていたとしても、更新が適用されていた場合は時効が成立しません。時効の更新は以下のような事由によって適用されます。
・差押え
差押えが行われることで時効が更新されてしまうケースがあります。ただし、担保を設定している場合以外では、基本的に裁判に負けていない限り差押えが行われることはありません。
・承認
承認とは、「自分に債務があることを認める」ことです。「借金の一部を支払う」「支払いについての話をする」「和解書を取り交わす」などがこれにあたります。
例えば、4年間支払っていなかった借金に関して「1000円でもいいから支払ってほしい」とお願いされ、「1000円なら……」と支払ってしまうと、承認したとみなされて時効がリセットされてしまいます。
・請求
請求とは「裁判を起こされたり支払い督促の申し立てが行われたりする」ことを意味します。電話での請求や裁判所を通さず送られて来る書類などは、これにあたりません。
請求が適用されると時効がリセットされるだけでなく、新たに始まる時効期間は10年となります。何らかの理由で裁判所からの書類を受け取っていない場合でも、「公示送達」という方法で知らない間に裁判にかけられているケースもあるため注意が必要です。
また、居留守などで受け取り拒否をした場合でも書類が届いたと見なされる「付郵便送達」という制度があるため、「書類を受け取っていないから時効が中断していない」という点もあわせて覚えておきましょう。
時効について、誰に相談すればいい?何を相談できる?
時効の援用は個人でもできますが、場合によっては時効の更新を招いてしまう可能性もあります。しっかりと手続きを行うのであれば、弁護士や司法書士に相談することも選択肢に入れておくべきでしょう。
時効の相談を専門家に依頼するメリット
時効の相談を専門家にすることには、以下のようなメリットがあります。
・不備のない援用通知書が作成できる
専門家に相談をする大きなメリットとして、正しい援用通知書を作成できることが挙げられます。間違った内容の援用通知書では援用が適用されない可能性があり、承認とみなされて時効の更新を誘発してしまう恐れもあります。
専門家に依頼することで、正確な援用通知書の作成・発送を行ってもらえるため安心です。
・正しい対処をしてもらえる
専門家に依頼することで、時効が成立しているかを事前に調べてもらえます。
そのため、「時効が成立していたと思ったら中断されていたので援用できなかった」などの事態を避けることが可能です。また、債権者からの連絡は専門家を通して行うようになるため、現住所を知られることなく対処してもらえます。
・手間がかからない
専門家に依頼すれば時効の援用についてほとんどの対応を任せられるため、債務者自身はほとんど何もせずに済みます。債権者からの問い合わせ対応も専門家を通すことになるので、手間がかからないでしょう。
司法書士に依頼するメリット・デメリット
ここでいう「専門家」には、大きく司法書士と弁護士がいます。まずは司法書士に依頼するメリット・デメリットを見ていきましょう。
・司法書士に依頼するメリット
司法書士は、1債権者につき140万円以下の借金案件に関する時効援用を扱うことができます。
時効完成有無の調査、債権者とのやり取り、時効援用通知書の作成・発送はもちろん、債権者との間で裁判が起こった場合には代理人を任せることも可能です。また、弁護士に依頼するよりも費用が安くなる場合があります。
・司法書士に依頼するデメリット
140万円を超える借金の場合、司法書士は代行業務ができなくなります。また、司法書士が代理人を務めることができる裁判は簡易裁判所まで、という点にも注意が必要です。
弁護士に依頼するメリット・デメリット
続いて、弁護士に依頼するメリット・デメリットを確認しましょう。
・弁護士に依頼するメリット
弁護士は時効の援用に必要な業務を代行可能です。借金が140万円を超える場合でも、時効完成有無の調査、債権者とのやり取り、時効援用通知書の作成・発送、裁判の対応をしてもらえます。
また、時効の援用ができない場合には債務整理(全種類)に対応してくれるのも大きなメリットといえるでしょう。
・弁護士に依頼するデメリット
弁護士に依頼するデメリットとしては、司法書士に比べて若干費用が高いことが挙げられます。費用を比較しながら弁護士を探してみるのもひとつの手です。
まとめ
銀行からの借金にも時効はあるため、時間が経てば「時効の援用」を行って借金を帳消しできるかもしれません。ただし他の借金と同様、時効の更新が適用されると時効がリセットされてしまうため注意しましょう。
時効の援用は個人でも可能ですが、より慎重を期すのであれば専門家に依頼することをおすすめします。
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2017.11.23 公開