「貯金も収入も少ないのに借金がある…子供の今後のためにも何とかしたい」
「生活費のためにやむを得ず借金したが返済できない…」
シングルマザーの方の中には、子どもが小さくなかなか正社員で雇ってもらえなかったり、周囲の理解を得るのが難しい、といったなかで借金を抱え返済に苦しんでいらっしゃる方もいるかもしれません。このままの状況が続くと、いつか滞納してしまう可能性もあります。
しかし、シングルマザーを救う制度や手段が存在します。
そこでこの記事では、
について紹介します。
節約していても苦しい生活…母子家庭のための公的な救済制度とは
行政(自治体など)は、ひとり親に対する公的な救済制度や援助の制度を用意しています。
まずは、シングルマザーが利用できる公的な救済制度をご紹介します。
①児童扶養手当
シングルマザーが利用できる公的な救済制度(支援制度)として、まずは「児童扶養手当」が挙げられます。
児童扶養手当とは、両親が離婚するなどの理由でひとり親となった家庭の児童のために、地方自治体が給付する手当のことです。
児童扶養手当の支給対象となるのは、18歳になった年の3月31日までの児童であり、所得が一定以下の世帯である必要があります。
対象児童に障害があって、特別児童扶養手当を受給できる程度の場合には、その児童が20歳になるまで児童扶養手当を受け取ることができます。
その場合には、当該児童は児童扶養手当と特別児童扶養手当の両方を受給することが可能です。
児童扶養手当を受けるためには、対象児童が以下の要件にあてはまっていることが必要です。
【児童扶養手当の要件】
- 父母が離婚している
- 父または母が死亡している
- 父または母が一定程度の障害を持っている
- 父または母が生死不明かそれに準じる状態にある
- 父または母に遺棄されている
- 父または母が一年以上拘禁されている
- 母が未婚のまま懐胎した
- 孤児
ただし、下記の条件のいずれかに該当するケースでは、児童扶養手当は支給されません。
【児童扶養手当が支給されないケース】
- 日本国内に住所がない
- 父や母の死亡に伴う年金や労災などを受給できる
- 父または母の年金の加算対象になっている
- 里親に委託されている
- 児童扶養手当の請求者ではない、父または母と生計を同じくしている(父または母が障害者である場合を除く)
(例)児童扶養手当の請求者は母なのに、父と生計をともにしているケース。
- 父または母が再婚して、連れ子として父または母の配偶者に養育されている
(内縁、事実婚を含む)
児童扶養手当を受給するのは児童の母(または父)ですが、受取人が日本に居住していない場合や、何らかの年金を受給出来る場合には、児童扶養手当は支給されません。
児童扶養手当の金額は、2020年4月現在以下の通りです。
【児童扶養手当の金額】
- 子どもが1人の場合、全部支給のケースで43,160円、一部支給のケースで43,150円~10,180円(所得に応じて決定されます)
- 子ども2人目の加算額は、全部支給の場合で10,190円、一部支給の場合で10,180円~5,100円(所得に応じて決定されます)
- 子ども3人目以降の加算額は、子ども1人について、全部支給の場合に6,110円、一部支給に6,110円~3,060円(所得に応じて決定されます)
以上のように、児童扶養手当は、所得が一定以下のシングルマザーであれば受け取ることができるので、生活費や学費、子どもの養育費の足しになります。
②母子父子寡婦福祉資金貸付金
次に、シングルマザーが利用できる公的な援助・救済制度としては、母子父子寡婦福祉資金貸付金があります。これは、ひとり親の家庭や寡婦の経済的自立を図るため、子どもの進学や親の技能取得、引っ越しなどのための資金を貸し付ける制度です。
母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用できる要件は、以下のとおりです。
【母子父子寡婦福祉資金貸付金の利用要件】
- ひとり親家庭の親
- 寡婦(現在配偶者がおらず、かつて配偶者のいないときに20歳未満の児童を扶養していたことがある人)
- 40歳以上の配偶者のない女子(かつて結婚していた人)
ひとり親家庭の場合には、世帯年収が550万円以下であれば貸付が受けられますし、寡婦と40歳以上の配偶者のない女子で子どもを扶養していない人の場合には、特別な事情がない限り、203万6千円以下という所得制限がかかります。
母子父子寡婦福祉資金貸付金には、いろいろな種類がありますが、中でも「就学支援資金」や「修学資金」、「就職支度資金」、「修業資金」については、子ども自身が貸付申請出来ることもあります。母子父子寡婦福祉資金貸付制度で貸付が受けられる金額は、その貸付の目的によって異なります。
貸付金の目的や種類には以下のようなものがあります。
【貸付金の目的や種類】
- 事業を開始するための事業開始資金
- 現在営んでいる事業を継続するための事業継続資金
- 子どもを就学させるための修学資金
- 就労のための能力をつけるための技能修得資金
- 子どもに就労能力をつけるための修業資金
- 就職に必要なお金を貸し付ける就職支度資金
- 医療や介護を受けるための医療介護資金
- 生活資金、住居の改築や補修のための住宅資金、引っ越しのための転宅資金
- 子どもが高校や大学に行くための就学支度資金
- 子どもが結婚するための結婚資金
これらの資金の具体的な貸付額は、資金の目的によって異なりますし、利子の有無や利率も資金の内容によって異なります。
また、同じ修学資金でも、自宅からの通学か自宅外からの通学か、国公立大学か私立大学かなどの諸条件によって貸付金額が異なります。
たとえば自宅から国公立大学へ通学する場合には、1年生から4年生までの間と卒業後6ヶ月間は、無利子で月額45,000円程度の資金貸付を受けることができます(千葉市の場合)。母子父子寡婦福祉資金貸付制度では、父母がいない児童本人に対しても貸し付けが可能です。
以上のような母子父子寡婦福祉資金貸付制度は、金利がない、あるいは低い場合もあるので、利用すると子どもの進学や就労、生活資金などに使えます。
③生活保護
シングルマザーが受けることのできる公的な救済制度としては、生活保護もあります。私生活保護制度とは、生活に困窮している人に対して、必要な生活の保護を行い、生活困窮者が最低限の生活を維持できるようにするとともに、将来自立を促すことも目的とする生活支援制度です。
年金や手当などの受給権がある場合には、まずはそちらを先に活用する必要があります。親族などから援助を受けられる場合には、まずはそちらから援助を受ける必要があります。
このように、他の努力をすべてしても、それでも生活の維持が困難な場合に生活保護の受給が認められます。
生活保護の受給が認められた場合の受給額は、厚生労働大臣が定める最低生活費から収入の金額を差し引いた差額となります。
具体的な受給額は、居住する地域や世帯人数、世帯収入などによって大きく異なってきます。
シングルマザーがどうしても生活を維持できない場合、生活保護も一つの選択肢として検討してみてください。
借金を抱えるシングルマザーへの救済制度に潜む最大の難関とは
シングルマザーが生活していく上で、児童扶養手当などの公的な給付や援助制度を利用しても、問題が解決できないケースがあります。とくに、既に生活や子どもの学校などのために借金をしてしまっていると、返済も必要になっていきます。
そこで、以下では公的な救済制度を利用しても解決できない借金問題を抱えている場合の対処方法をご紹介します。
借金があると救済制度を受けられない?債務整理という選択を!
シングルマザーの借金問題を解決できる方法の一つは債務整理!
シングルマザーで収入が少ない場合にも債務整理手続きを利用できますし、この方法で苦しい借金問題を解決できる可能性があります。
債務整理には、任意整理と特定調停、個人再生と自己破産の4種類があります。それぞれの手続きに特徴やメリット・デメリットがあり、個別の状況に応じた適切な手続きを選択してすすめれば、だいたいの借金問題を解決できる可能性があります。
では、シングルマザーに向いている債務整理はどの手続きなのでしょうか。これについては、その人の個別の状況によって異なりますので、一概には言えません。
たとえば、収入がある程度あって、少しの金額であれば月々返済していける人の場合には、任意整理をすると良いでしょう。
任意整理とは、消費者金融会社やクレジットカード会社などの債権者と直接話し合って、借金の返済金額と返済方法を決め直す方法のことです。債権者との合意後の将来利息をカットしてもらうことによって借金返済金額を減らすことも可能な場合もありますし、返済期間を長くすることによって月々の返済金額を減らすこともできます。
このことによって、それまでより借金返済が楽になり、完済まで支払いを継続していけるようになります。
これに対して、収入がほとんどない人や全くない人の場合には、自己破産も一つの方法です。
自己破産とは、裁判所に申立てをして借金支払い義務を完全に0にしてもらえる手続きのことです。
どれだけ多額の借金があってもすべて支払う必要はなくなりますし、借金額が少ない場合でも自己破産はできます。
自己破産をすると、財産の一部がなくなるデメリットがあります。
生活保護を受給するには自己破産するなど借金をなくすことが条件
生活保護は借金返済している状態では受けられません。
生活保護のお金は、あくまで生活困窮者の生活のために使われるべきであり、借金返済に充てられては困るという行政の判断があるためです。
つまり、任意整理や個人再生などの債務整理手続きを利用して、手続き後に返済が残っている状態では生活保護を受けられません。債務整理後に生活保護を受けるためには、自己破産するなど借金を完全になくすことが条件となります。
今、借金返済が苦しくて収入もないので、将来は生活保護を受けたいと考えているなら、債務整理手続きの中で自己破産を選択するのも一つの方法です。もし生活保護を受給することを考えていないなら、任意整理などで解決することも可能です。
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